今月のことば【6月後半】

我必ず聖に非ず 彼必ず愚かに非ず 共に是凡夫ならくのみ

※「凡人」は「凡夫」の間違いです。

 聖徳太子(しょうとくたいし)は仏教に深く帰依(きえ)し、その教えを政治や社会の柱としました。
 十七条(じゅっしちじょう)憲法(けんぽう)第十条には、「自分が必ずしも(かしこ)く正しいわけではなく、相手が必ずしも愚かで間違っているわけでもない。私たちは皆、煩悩(ぼんのう)や迷いを抱えた“凡夫”である」という仏教的な人間(にんげん)(かん)が込められています。謙虚に相手を敬い、共に歩むことの大切さが説かれています。
 SNSなどでは自分の正しさばかりを主張(しゅちょう)し、異なる意見を攻撃する姿が目につきます。また、世界では宗教や価値観(かちかん)の違いから争いが絶えません。
 人間は間違うもの、迷うものである――お互いに、仏さまから(ねん)じられている存在なのです。